宇宙爆撃

それは、生きている間のコミュニケーションは || 蘭郁二郎 宇宙爆撃 (5)

それは、生きている間のコミュニケーションは || 蘭郁二郎 宇宙爆撃 (5)

驚いたことに、純粋な水銀が未知のものに変わってしまったのだ。
正確に言うと、この異変に最初に気づいたのは石井さんである。 ガラスのトレーに入れた水銀の粒(マッチの頭と思ってください)が変な色をしていたので、つまんでみたそうです(水銀は表面張力が強いので、つまんだことにショックは受けませんでしたが……)。 (水銀は表面張力が強いので、つまんでもショックは受けなかった)。私が戸惑っていると、石井さんが手近にあったハンマーで砕き、この水銀は茶色の粉末になった。

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慌てて他の水銀を調べてみたが、他の水銀はどれも変質していない。
 この謎は何を物語っているのだろうか。……私には、前回の手紙に書いた宇宙爆弾の恐怖を裏づけるもののように思えるのである。つまり、この水銀の中の電子は、我々の地球よりも高度な科学力を持っていて、いずれ彼らの宇宙が私に爆撃されることを予見していたはずであり、その前に自分たちの宇宙系を自分たちの力で爆撃して変質させた、この超巨大が彼らにとって、この 私の考えていたことと非常によく合っているようで(そう推測した)、小さな電子の中の彼らの科学力は現在の地球人のそれよりも驚異的で破壊的なようだ(なぜか)。 今度は私たちの番です。 私たちはこの水銀の中で電子になっています。  少なくとも超大型巨人の宇宙砲撃の前に、人間の方法(残念ながらまだ真似する力はない)で、太陽系の原子を自らの爆発で変形させ、超大型巨人に我々の科学の存在を示さなければならないのです。石井さんが最後まで私の最高の助手になってくれること、それが私の唯一の喜びです。(音声や文字以外の手段で生物間のコミュニケーションを図る方法があれば、私が爆撃している電子上の小さな人間と、我々の惑星を爆撃している超巨大生物とが理解し合えたかもしれませんが、今となっては遅きに失していますね。と同時に、従来の方法では突破できない心の狭い私は、石井さんとも分かり合えないまま終わるだろう(・・・・・・)。  いずれにせよ、準備を急ぎたいので、またお手紙を差し上げます。8月16日添付              IX.  村尾の手紙を受け取ってから約半月が過ぎたが、なかなか受け取れない。以前問い合わせた石井美智子からの手紙を毎日待っていたが、なかなか来なかった。突然、電報が届いた。

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村尾憲治から木曽禮次郎への私信であった。
 –ケッコウシマス、テツヅキヨロシクタノム。9月1日付け。  木曽禮次郎は文字通り驚愕した。 村尾は地球を吹き飛ばしたいのか!  警告に返事もしない石井美智子は何をやっているんだ。  地球をぶっ壊すというのに、手順もクソもないだろう!  木曽は給仕を呼ぶ暇もなく、口から泡を吹いて研究室を飛び出し、郵便局へ急いだ。  木曽禮次郎から村尾憲治への私信である。  –メイト。アトフミ。9月1日付。  木曽禮次郎から石井道子への私信。  –村尾を自害せしむるに至らず。アトフミ. 9月1日  息も絶え絶えの木曽が研究所の部屋に戻ると、郵便局に行っている間にエアメールが届いていた。  石井道子から木曽禮次郎への私信である。 –先日はお手紙をありがとうございました。 遅くなって申し訳ありません。お忙しいところ恐縮ですが、村尾さんが木曽さんにあのような変な手紙を出されたのは、村尾さんが仕事に夢中で、私が興奮し、いたずら心で研究室の水銀を送ったのが原因ですが、そんな心配をさせるとは知らずに、木曽さんに送ってしまいました。ところが、村尾さんは私の冗談に笑うどころか、あれから急に思慮深くなった。私は仕事が忙しくて、村尾さんの体に触れる気もなかったのですが、私がした悪ふざけは、どういうわけか村尾さんに大きなショックを与えてしまい、何を言っても、何を繰り返しても、聞く耳を持ってくれませんでした・・・・・・・・。泣くこともできなかったのですが、幸いなことに、出張中の兵隊のお兄さんにわざわざ来てもらって、全部説明して謝ってもらいました。村尾さんは少しも怒らず、「ミチコさんの優しさがわからなかった」と兄に謝ってくれたので、ほっとした。村尾さんのような仕事熱心な人にはよくあることなのでしょう。

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兄は村尾さんとの結婚を勧めてくれましたが、木曽様はどう思われるのでしょう。 このことについては、いずれ兄や村尾氏から何か言われると思います。……  木曽は愕然とし、そして呆然とした。この日付によれば、電報は村尾より先に送られている。しかし、それなら村尾は何をケッコンしたのだろう。しかし、それなら、村尾のいう「けっこー」とはどういう意味なのだろう。木曽は、テーブルの上にあった電話を引き上げ、郵便局に電報の点検を依頼した。 –木曽禮次郎は、長く待たされたことを不満に思っていた。
 木曽禮次郎は長い廊下をゆっくり歩いて総合事務所に向かった。木曽は、この機関の結婚手続きについて聞いたことがなかった。木曽は、この機関の婚姻手続きについて聞いたことがなかった。 しかし、ゆっくり歩きながら、彼は科学の力について考え続けていた。
 もし科学が進歩して、原子破壊の巨大なエネルギーを利用し、一般に普及させることができれば、我々の文化は飛躍的に進歩するであろうと思った。 しかし、それが狂人の手に渡れば、地球はいつ何億もの人類とともに粉々に砕かれるかもしれない。
 木曽は、歩きながら背筋を押さえるような冷たさを感じた(未発表の原稿)。