荒法師

……あなたの着ている野蛮な衣は何ですか。 || 山本周五郎 荒法師 (2)

……あなたの着ている野蛮な衣は何ですか。 || 山本周五郎 荒法師 (2)

というのも、“某国 “では、“某国 “と “某国 “の間に、“某国 “と “某国 “の間に、“某国 “と “某国 “の間に、“某国 “が存在するからです。
国中が陛下に敗れたのである。しかし、まだまだ平和とは程遠く、関東地方には北条氏の強い力が根付き、今ではあえて豊臣に戦いを挑んでいる。戦に追われる民衆のために、一杯の粥で十分だと考えているのだ。このような事実だけでその当否を論じるのは間違っているし、敏江にしても、それをどう実践すればいいのか、見当もつかない。仏教そのものにさえ疑問を抱いていた。宗教は理論では生まれないし、その原点は非常に単純明快であるから、その原点に立ち返ることで出口を探ったのである。

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その第一は、釈迦が天竺人であったという当たり前の点である。
 したがって、本尊の破壊は彼の目的ではなく、そこから再出発するための手段であった。 その日の夜、小坊主の一人がおにぎりを持ってきて、自分の手で食べさせようとしたが、敏江は目を閉じたまま、まるで石のように動こうとしない。
 小坊主は何度も、食べるな、腹が減るぞ、と念を押したが ……。しかし、彼女はうなずいたり、うなづいたりして答えないので、手の届くところに竹の皮にご飯を入れたまま、そっとその場を離れました。翌朝、同じ小坊主が再び米を持ってくると、前の晩の米が手付かずのままになっていた。  ……敏恵様、大丈夫ですか?  小坊主は心配そうに見て、「少しは食べないと死んじゃうよ」と言ったのですが……。敏江はまだ答えず、小坊主は物思いにふけったように、ため息をついた。   五日目まで、何日も飲まず食わずで寝たが、どのくらい時間がたったかは覚えていない。彼は自分でも気づかないうちに小坊主の言葉を反芻していたのだが、ふと迷路の出口が見えたような気がして、虚を突くような思考を凝らし続けた。食べなければ腹が減り、やがて死ぬ。  そのすぐ隣にある、何かが……見えるようになるのです。四つだ。  トシは暗闇の中で目を見開き、精神的に安定した呼吸をしながら、智恵子が出てくるのを待った。土蔵の中は赤々とした光に包まれ、近くでは物が燃える音が聞こえてきた。–よろよろと立ち上がり、扉にもたれかかった敏江は、息が詰まるのを感じた。  戦いが始まる、……と呟くと、鐘の音が止み、逃げる足音と悲鳴のような悲鳴が再び大きく耳に響く。

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戦いが始まる、……と呟くと、鐘の音が止み、逃げる足音と悲鳴のような悲鳴が再び大きく耳に響く。
 春暉は知らぬ間に、ここを開けてくれ……と叫んでいたが、答える者はいない。  彼は小坊主の名を呼び続けたが、火が燃え尽きると、もう凄まじいうめき声以外、人の声さえ聞こえない。彼は扉から体を離し、縛られた体を思い切り扉に叩きつけ、三度、五度と繰り返したが、扉はびくともせず、飲めない体はそれだけで疲れ果て、大きく喘いでいた。本堂が燃えているのだろう、巨大な三叉路が沸騰したような音が経蔵を包んでいた。 ……ここはもうすぐ火事になる、ここにいたら焼け死ぬ、敏江はそのことをはっきりと悟り、死が怖いとか、寺が焼け落ちるからではなく、説明できない、なぜだかわからない怒りがこみ上げてきた。それは、彼の血の叫びであり、地方の侍の血が、仏教徒としての彼の存在を引き裂きながら、体内を駆け巡っていたのだ。 裏門に向かってくる足音と、誰かが扉に向かって奔走する音、そして鍵を壊すためであろう手斧の音が耳をつんざくように響いてきた。
 斧の音に耳を塞がれた ………………。明神か敏江が叫んで戸口まで滑り込むと、鍵の落ちる音、戸が開く音、思わず目を覆った、戸が開くと突然空へ上がる火柱と眉間に燃える火が顔を襲い、目が見えなくなってよろけた、誰かが彼を抱き起こしたのである。  目が見えなくなり、よろめく彼を誰かが支え、敏恵様、早く、……、早く、と叫び、その手が彼を握りしめ、その手に導かれるように彼はよろめいたのです。明神ではない、その声と手の感触ですぐにわかった、女性だ、女性に違いない、しかし、それが誰なのか、……見当もつかない。肌を焦がしそうな火の中を走りながら、彼は自分の印象に残った人物の姿を確かめようとした。裏門を出たところ  敏江は目を開けていたが、長い早足と精神的な葛藤で体は弱り、逃げる群衆の中を同行の女の手にしがみつきながら進んでいくしかなかった。

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裏門を出たところ  敏江は目を開けていたが、長い早足と精神的な葛藤で体は弱り、逃げる群衆の中を同行の女の手にしがみつきながら進んでいくしかなかった。 女は敏江を引きずりながら走ると、道を横切り、森の中へ走っていった。  敏江の耳元には、喘ぎながら忍耐を促す女の声が聞こえてきた。V. 炎の光はもうない。 炎の光はもうなく、森の中は爪の先もわからないほど暗かったが、そこから出ると、そこは畑で、すぐ左手に農家の明かりがあり、墓守の七兵衛の家であり、自分を助けてくれたのは七兵衛の孫娘だとやっと分かった。 –ああ、花代だったのか……それなら大丈夫だ、と思った途端、足に力が入らなくなり、ふらふらと横に倒れてしまった。翌朝、それからのことは細切れになった印象しか残っていない。何もかも忘れて眠ってしまった。  起きられるようになったのは、それから7日目のことである。寺に行っていた七兵衛が帰ってきた朝、初めて寝床に腰を下ろし、食事をした。  いい人生だな、……老人はそう言って、枕元にすり寄ってきた。 経蔵は風下にあったので、本堂が焼ける前に始まったのだ。 石田治部少輔の軍勢であった。 石田、……。 治部少輔が攻めてきたのか?  老中七兵衛は、次のように言った。三万人ほどの軍勢であった。これに対して、館林城の北条氏規をはじめ、板倉、北大島、西島、足利など十八城の武将のほとんどが兵を率いて小田原に入り、別働隊はすべて館林で合流して城を守っていた。忍城は成田氏長によって守られた。成田氏長も軍勢を率いて小田原に向かったため、城内には氏長夫人と300人ほどの兵士が残るのみとなり、この城を守ることになった。 氏真の妻は、戦国武将の妻らしく館林での合流を拒否し、わずかな守備と武器で石田軍に挑んだ。
 彼女の勇気ある決意を聞いて、まず思うことがある。

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彼女の勇気ある決意を聞いて、まず思うことがある。
 ……領民は逃げもせず、竹槍や米を担いで大勢で城に入り、城に入らない者はその場に留まり、後衛として精一杯の働きをしています。  それにしても、何故寺が焼かれたのでしょうか。  石田勢は寺を明け渡し本陣とするよう使者を送ったが、北条様はこれを拒否された。この話を聞いた敏江は、ほっと深い安堵の息をついた。生死を超えた道、どんな状況でも揺るがない一念をつかむまで、僧侶としての生活を続けていこうと決意したのであった。